2020年12月5日

所持ヘッドホンレビュー(買いすぎ)

 最近ヤフオクでヘッドホンを購入するのがマイブームになっています。大抵はひとしきり音を楽しんだ後に改造などを行った上で手放すのですが、最近は純粋に気になっていたヘッドホンが次々と落札できてしまいました。

結果はご覧の通りです。しかしながらここは最大の密集地に過ぎず、見えないところにもまだアンプやヘッドホンが隠れています。
また処分を始めていかないと‥と思いつつ、個々の簡単な感想を備忘録に残したいと思いました。

様々なヘッドホンを聴き比べてみて感じたのは、音の合う合わないよりも装着感が一番大事だということでした。
ヘッドホンは頭に正しくフィットしなければ本来の性能は得られず、長時間の使用にも耐えられません。しかしながら頭の形は人それぞれ、千差万別です。故にここで述べる感想は私個人にしか当てはまらない可能性が高く、皆さんの参考にならないかも知れないと言うことを予めご了承ください。まあ、『店頭で試聴はしようね!』が一番大事ということです。

ちなみに紹介するヘッドホンはケーブルが直付けのものものも、すべて着脱できるよう改造済みです。ですので、もしかしたら音も元とは微妙に変化しているかも知れません。

オーディオテクニカ ATH-AD2000X(ケーブル着脱改造化済)

オーディオテクニカ ATH-AD2000X

最初のヘッドホンは、自分がオーディオ沼にはまり込むきっかけになった、そして現在もメインで使用している本機です。店頭でこれを試聴したときは本当に衝撃を受けました。イヤーパッドは社外品の分厚いタイプに交換しています。

一般的に開放型と言われる、ハウジング(筐体)が密閉されていないタイプです。音に包まれるような空気感と快適な装着感が得られる一方、外にダダ漏れなので家族の目(耳)が気になります。
またハウジング内での反響が得られにくい分、ドラムやベースなどの重低音はやや迫力控えめになります。とはいえ、夏でも蒸れない爽やかさは長時間装着しても苦になりません。

後述の密閉型AシリーズがZまで出ているのに対し、このADシリーズはX止まりというところもすでに完成されているという証かも知れません。
一番低価格のAD500Xから最上位の本機まで5機種がラインナップされていますので、試聴の機会があれば是非手に取ってみてください。

オーディオテクニカ ATH-A2000Z(ケーブル着脱改造化済)

オーディオテクニカ ATH-A2000Z

さて、やはり比較としてあげておきたいのが密閉型タイプです。チタニウムのハウジングで覆われ、ドライバ(内部スピーカー)のパワーを余すところなく伝えてくれます。

2016年のヘッドホン大賞を受賞するなどネット上で大絶賛されている本機ですが、どうも自分の頭には今ひとつ合わず、ヘッドホン選びの難しさを痛感させられます。
前述のATH-AD2000Xと音の傾向は似ていますが、低音のパワーは密閉型のこちらに分が上がります。

ちなみに音域として高音域(金管やシンバルなど)、中音域(ヴォーカルなど)、低音域(ドラムやバスなど)といった書き方がよくされますが、メーカーや機種によってどこが強いか個性が出てきます。
高音と低音が強いとドンシャリ、中音が強いとカマボコ、均等ならフラットと表現されることが多いようです。

オーテクというメーカーはドンシャリ‥というよりは高~中音に重きを置いているように感じられます。ただ、SOLID BASSというその名の通りドンシャリを売りにしたシリーズも販売しています。

AKG K701 (ケーブル着脱改造化済)

AKG K701

AKG(アーカーゲー)は音楽の都ウィーンを首都とするオーストリアのメーカーです。
発売から10年以上経ってなお絶大な人気を誇る開放型の名機で、かつては8万円もする超高級品だったそうです。現在はさすがに2万円前後で落ち着いていますが、3年保証の付いたK701-Y3として今も販売され続けています。
某アニメの中でキャラクターが使用していたことから『澪ホン』という愛称もあります。

こちらも高音の切れ味に特徴があるように感じます。後継としてK702、K712とシリーズを重ねながら低音へとシフトしているらしいですが、過去機が廃盤になることはなく並行して販売されています。

イヤーパッドがベロア生地で非常に心地よいのですが、これも自分には今ひとつフィットせず残念でした。柔らかそうで意外と硬く、隙間ができてしまうのです。長く使っていたら柔らかくなって馴染んでくるのでしょうか‥。

Beyerdynamic DT990PRO (ケーブル着脱改造化済)

Beyerdynamic DT990PRO

ドイツの老舗オーディオ企業、Beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)社の人気ヘッドホンです。
モニターヘッドホンというジャンルがあるのですが、音に余計な装飾を付けず原音に忠実に鳴らすことからスタジオやマスタリングの現場で重用されています。同メーカーのDT770PROは世界的に使われている代表的なモニターヘッドホンであり、本機はそのセミオープン(ちょっとだけ開放)型になります。側面中央にうっすら見える黒い部分が開放部ですね。

本機も恐らくモニター寄りの音と思われますが、音漏れが許されないスタジオで使われることは無いのでしょう。マイクが拾っちゃったら大変ですものね。高音から低音までしっかりと伝わってきます。

ただ、ケーブルもスタジオ仕様なのかカールタイプで重く使い辛いです。なおかつ標準プラグのみでインピーダンスも高め(音量が出ない)と、完全に据え置きアンプへの接続を前提とした作りと言えます。スマホ直結はあまり考えない方が良いと思います。

装着感は(個人的に)良好で、K701と同じベロア生地のイヤーパッドもあって清涼感すら覚えます。こちらは柔らかいんですよね‥中古で使い込まれているせいでしょうか。ちょっとくらいの汚れなら、ネットに入れて洗濯機で洗えば綺麗になってくれるのがベロアタイプの利点です。革製パッドで同じことをしたらボロボロになりますから絶対ダメですよ。

ここに並ぶヘッドホンでは1万円台で購入可能と最も低価格ですが、しかしながらその音は5万円クラスにも引けを取らないと思っています。さらにモニター用途ベースのせいでしょうか、実際に目の前で再生されているような不思議な感覚に包まれます(ただし広さもスタジオ程度)。

例えばジャズライブなどで聞こえるガヤや食器の音といった雑音は、店の雰囲気を伝える要素にもなります。DT990PROではこういったものも余すことなく伝わってくるのですが、他のヘッドホンに替えるとそれらはカットされてしまうことに気付きます。この辺りもモニターヘッドホンと、純粋に音楽だけを楽しむリスニングヘッドホンの違いなのでしょう。

これ一台ですべてを賄えるヘッドホンでは無いかも知れませんが、複数台持つ際には是非試して頂きたい一品だと思います。

Beyerdynamic T1 (ケーブル着脱改造化済)

Beyerdynamic T1(初代)

とうとう手に入れてしまいました。ベイヤーダイナミック社のフラッグシップ(最上位)機です。ゼンハイザーのHD800、AKGのK812と並んで御三家と呼ばれているようです。いずれは他の2機種も‥(危険)。
本機自体は生産、販売とも既に終了しており、現在は後継機の2nd Generationが販売されています。つい先日、三代目の3rd Generationが発表されました。こちらも代を重ねる毎に万人向けに低音シフトが進んでいるそうなので、個性が強いという初代をあえて選びました。根強いファンも多いようです。

性能はさすがの10万円超(当時)だけあって、音のクリアさが他とは一目瞭然です。ATH-A2000Zですら、これの後に聴くとハイレゾがローレゾになったような感覚に囚われます。ただその一方で聞こえなくなる音もあるようで、一概にどちらが上とは断定しづらいところもあります。
それでも女性ヴォーカルや金管楽器といった高音域については、間違いなく他の追随は許さないでしょう。ヴァイオリンソロも鳥肌が立ちます。

ヘッドホンもある程度以上になると劇的なレベルアップというより個性の好き好きになってくるため、必ずしも高額なら良いという訳ではないようです。実際、このヘッドホンを聞いた今でも前述のDT990PROを手放す気にはなれません。5倍以上の価格差があってなお、DT990PROにはDT990PROにしかない良さがあると感じます。
その結果、ヘッドホンがどんどん増えていくことになるのです‥トホホ。

あと追記しておくべきこととして、インピーダンスが600Ωと非常に高いです。かなりパワーのあるアンプに繋がないと本来の性能が発揮できないどころか、音量も確保できないでしょう。スマホ直結など論外です。高級機は上流にもそれなりものを求めると言うことなのでしょう。
後継機では改善されているようですが、ケーブルもかなり重く使い辛いです。

SONY MDR-Z7

SONY MDR-Z7

日本が誇るソニーの高級機です。フラッグシップとしてさらに上のMDR-Z1Rがありますが、さすがに高すぎて手が出ません。試聴もしましたが、Z7の方が個人的には好みでした。
現在は後継機のMDR-Z7M2が発売されており、これもどちらが良いかは好き好きのようです。
一応密閉型にカテゴライズされていますが、写真でも見えるように若干の通気口が設けられています。これは後継のMDR-Z7M2も形状は変われど同様です。
最初からケーブル着脱が可能で、さらに抜け落ち防止でネジ締めも可能です。

ソニー製はこれ以外にポータブルタイプのMDR-1Aも所持しているのですが、どちらも装着感が素晴らしいです。本機はイヤーパッドもヘッドバンドもふわっふわ。顔の側面にピタリと吸い付き、音質はフラットだとは思うのですが低音までしっかりと伝わってきます。

ジャンルを問わず満遍なく聴けるため面白みには欠けるかも知れませんが、個人的に一番長時間、快適に使い続けることができたのは本機でした。オーテクと並んで、最初の一台にお奨めしたいヘッドホンです。やはりどちらも国内メーカーなので、日本人に合った作りなのかも知れません。

ゼンハイザー HD650

ゼンハイザー HD650

最後はこれも名機と名高い、ドイツのゼンハイザー社が作るHD650です。こちらも最初からケーブル着脱できることもあり、改造がしたい自分にとってあまり食指を動かすものではありませんでした。たまたまお手頃に入手できそうだったのと、やはりこれだけ世界中で大絶賛されている人気機種ですので、1度はしっかり聞き込んでみたいと手に入れました。
早速付けてみると、側圧が強いものの装着感はまずまずです。そして聴いてみた音は‥。

これは酷い

音はモコモコして、立体感もなくただ左右からぶつけられている感じ。
ええー? 安物のヘッドホンでもまだマシじゃないか!? もしかして偽物を掴まされた!?

‥と、慌ててネットを検索してみたところ、このヘッドホンは100時間くらいエージング(鳴らし、もとい慣らし運転)しないとその実力を発揮できないのだとか。説明書にも、数十時間のエージングを求める記載があるそうです。

ならばと、2~3日くらい自分がよく聴く音楽を鳴らし続けました。その結果、おお‥変わった。良かった、偽物ではなかったようです。
前オーナーはこのことを知らず、最初の酷い音に絶望して売りに出したのかも知れません。インピーダンスも300Ωと決して鳴らしやすい訳ではなく、なかなかに手間のかかる子です。

エージングを経た後でも、これまでに紹介してきたヘッドホンとは明らかに音の方向性が違います。少なくともこれらの中では一番個性的と感じました。
あいかわらずモコモコ感はあるのですが、何というかすべての音が渾然一体となって押し寄せてくるような‥だからといって、解像度が低いとか立体感がないとかそう言う訳でもないようです。正直好みではないのですが、何とも表現しがたい不思議な迫力です。
これも変な例えですが、他のヘッドホンが刺身盛り定食ならHD650は海鮮丼。一つ一つの味を楽しむのではなく、全部まとめてかっ食らう感じです。

本機はクラシックに向くという意見をよく目にします。確かに、良いヘッドホンは一つ一つの楽器の音は綺麗なのですが、反面、広い野外で遠くに点々と楽器が置かれているような錯覚に囚われることもあります。しかしこのHD650は、そんなの関係ないぜ!と言わんばかりにすべての楽器がまとめて押し寄せてきます。とにかく迫力のある音楽なら絶対に外さない安定感はありますね。でもピアノソロのような繊細な音楽もきちんとこなします。

アンプは主にAT-BHA100を使用

以上が、現在所持しているヘッドホンの大雑把な感想です。どれも人気機種ですので、検索すればより参考になるレビューがたくさん見つかるでしょう。でも、やはり自分に合う音は自分で聴いてみなければわかりません。装着感なら尚更です。

オーディオ専門店には試聴コーナーに多数のヘッドホンを並べているところもあります。
良いヘッドホンで音楽を聴くと生活の質もとても豊かになります。色んなヘッドホンを試してみて是非お気に入りの一品を見つけてみてください。

ただし一品で済ませられれば良いのですが、複数のヘッドホンに手を出すと沼への第一歩です。でも、それはそれでとても良いものですよ。とても‥アタタカイ‥ズブズブズブ



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